その37 【奇抜な演出のオペラ編】

時期:2003年06月22日                                                執筆日:2005年11月24日
ミュンスターオペラ劇場でのワーグナー作曲「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は2003年6月22日に初演された。開始時間は普通のオペラ開始時間よりもかなり早い15時からだった。そして終わるのが22時過ぎというのだから手に負えない。なにせ途中に長い休憩を2度も挟むからだ。俺だったら途中で帰っちゃうヨ・・・。

大まかなあらすじは前回書いたのでここには載せないが、後半は要するに歌合戦なのだ。だから舞台もその様に設定されるのが常であるが、この演出家は何を思ったのか、別の場所にこの舞台を作ったのだった。

説明しよう!!

つまり前半は劇場でやり、歌合戦の時は劇場を抜け出し、特設された歌合戦用のテント劇場で残りを上演するのである。もちろん観客も大移動だ。出演者もさることながら、全オーケストラ、全ての観客の移動とあって、普通なら歩いて20分で行けるところが、1時間くらいかかるのだ。しかもマイスター(職人)役の12人は馬車に引かれてそこまで行くのである。なんともはやな演出なのである。

俺達学徒役の12人はその馬車の周りについて歩くのだが、現実問題を想像してみてくれ。車は馬に引かれている。1時間彼らと一緒に歩く。何が起こると思う??彼らはところ構わずウ○チをするのだ。それの臭いことといったらありゃしない。そして彼らは「今からするヨ!」とか言ってするわけではなく、気づいたら地面に落ちてるのである。よそ見して歩いていると踏んずけてしまうのだ。幸いなことに俺は大丈夫だったが、何人かは踏み締めてしまっていた・・・。アーメン。

というわけなので一部の道路はその間通行止めになっていて、警察が道路を封鎖しているのだ。何も関係ない普通の人はきっとかなり迷惑したにちがいない。しかも移動中は鼓笛隊のような軍隊がマーチを演奏しながら歩く。近所の皆さんごめんなさいだ。中には窓から手を振ってくれる人もいた。いい人たちだ。

さてさて特設ステージは大きなテントの中に舞台を作り、観客席はテーブルと長いすという、ドイツのビール祭りを彷彿させるような作りだった。観客もこれには大喜びだったに違いない。ビールを片手にオペラが見れるなんてそうはないだろう。俺達もその中を走り回ったりという演出で大いに楽しんだ。そして何より、観客と目と鼻の先ほどの場所で演じ、歌うのはなかなかスリリングだった。歌ってなかったらバレるという危険も含んでいたが・・・。

前半の写真と後半のテント内の写真を載せてみることにした。



左は最初の俺たちの出番あたり。


  右はカーテンコールで皆舞台に上がってるところ。




何はともあれ長いオペラだった・・・。ワーグナーのオペラは本当に大変だと実感した。特に主役とか大変だったろうなぁ・・・。俺もいつかはワーグナーのソリストを歌うぞ!!


Copyright (c) 2006-2019 Tadahiro Masujima. All Rights Reserved
inserted by FC2 system