その96 【神々しいチボリ編】

時期:2007年03月09日                                          執筆日:2011年09月11日
2006年夏にリューベック音大の学部を卒業し、そのまま大学院(Aufbaustudiengang)に進んだ俺は、そのまま大学で勉強していたのでした。

学部の時とは違って授業数が減り、自由になる時間を使ってオーディションに行ったり、自分の技術を深める練習などをしていました。多分。

当時の授業は、バレエ、モダンダンス、筋トレ、歌X2、コレペティX2、ドイツ語ディクションでした。

コレペティの先生は学部の時と違って2人付き、オペラ専門の先生と、リート専門の先生に習うことができました。

そのオペラ専門のコレペティの先生はリューベックのオペラ劇場でソリストのコレペティをしている人で、この先生には最高に勉強させてもらいました。コレペティなのに恐ろしいほど歌がうまい!舞台に立ってるどのソプラノ歌手よりうまいんじゃないかと思うくらい。そしてピアノもすんごい上手い・・・。何がって、もうオーケストラがそこで鳴ってるんじゃないかと思えるくらいの音色と、オペラを知り尽くしていて、音楽づくりが完璧。なぜこの人がこんなところでくすぶっているのか不思議でたまらないくらいです。

それは置いといて、その先生からあるオペラのオーディションの話が入ってきました。「神々しいチボリ」という現代オペラ。作曲者はまだ生きています。何気に合格して練習していたのですが、さすが現代作品・・・。もう譜読みが大変。言葉もリズムも音程も、どれとしてまともな物はなく、丸暗記と数学的解釈で取り組んでいきました。このオペラには俺のほかにも2人大学から参加していて、よく帰り道にみんなでブーブー言ってました。

歌手は全部で11人。ソリスト6人と男2人女3人のアンサンブルでした。そしてオーケストラがすごい。打楽器奏者6人とチェリスト一人そしてキーボード1人でした。わかる人にはわかると思いますが、この編成、うるさいうるさい。一番前の席に座ってる人は、顔をしかめてました。

本番初日は2007年3月9日。こんなわけもわからない現代オペラにもかかわらず、大成功。演出が大当たりしたようでした。後日談ですが、この成功のおかげで、このオペラはスイスのベルン歌劇場に招待されることになったのです。

リューベックに来てはや4年。初めてソリストとして(アンサンブルですが)歌劇場の舞台に立つことができました。そして現代作品に触れることができた初めての機会でもありました。



写真1はわれらがアンサンブル。すごく面白くて、いつも笑いが絶えなかった
写真2はポスターの前の俺。自分の名前を恥ずかしげもなく指差してます


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