その43 【2003年クリスマスのコンサート編】

時期:2003年12月18日                                              執筆日:2005年12月09日
ドイツでは12月に入るといきなりクリスマス色になってくる。キリストの誕生を祝って様々なコンサートが開かれる。なのでこの時期は稼ぎ時なのだ(なんとも卑しい言い方)!ほぼ全ての教会でクリスマスミサやコンサートが開かれるので、この時期は歌い手を探すのに皆躍起になっているのである。

俺もミュンスター生活がそろそろ2年半を過ぎ、それなりのこともしてきたので仕事がちらほら入っていた。モーツァルトの戴冠ミサだったり、バッハのカンタータだったり、クリスマス・オラトリオだったりだ。もちろん大抵ソリスト。

そのなかでも一番の大仕事が入ってきた。金額的にはそこまででもないが、役が一番大きく重要で、ほぼこの宗教曲の核になるであろう役であった。曲はH.シュッツの「キリスト生誕物語」だ。日本だと多分まったく馴染みがないと思うが。こっちでも聞いたことがない。

何の役かというとエヴァンゲリスト、福音使者である。アリアを歌うというよりはほぼ語りなのだが、長い、多い、で、一番難しいものだった。歌うのが全てレチタティーヴォだと思ってもらえればいいかも。上のポスターを見てもらえるとわかると思うが、俺の(右下らへん)しか演奏者の名前は書いてないのである。ソリスト達は他に合わせて7人いたが、それより重要だったのだ!

なのでレッスンではほぼその曲を勉強し、発音を特に直された。ドイツ語だったのでドイツ人がきちんと理解できるようにしないといけないのと、語りなので、言葉を理解して勉強しないと変な感じになってしまうのだった。

コンサートでは他のソリストの一人が風邪で最悪だったとか、それなりのハプニングはあったが、自分ではその時できる最高の演奏ができたと思う。ホールも教会に備え付けの新しいところで、その音響を体で感じ、尚且つ生かした演奏ができた。歌い終わった後のカーテンコールでは指揮者に促され、一人で聴衆の前に出て行った。新聞記者も来ていて、後日3つの新聞で色々書かれているのを見つけた。大抵はいい評価だった。えかった〜。

この時初めて教会で歌うこととホールで歌うことの違いに気づいた。教会では恐ろしく音が響いてしまうので、何も考えずに歌うと客席に声が届く頃にはモヤモヤして聴きづらいのである。そして歌ってる本人も自分の声がモアモアしてると感じるのだ。しかしこの時は自分の出した声と教会内で反響した声の響きを同時に感じることができ、・・・なんと言ったらいいのか、特別な感覚を覚えた。音が目に見えたとでも言ったらいいのか、本当に不思議な感じだった。

教会で歌う機会はまだまだ少ないが、これから歌う時にはもっと神経を集中させて音を出していこうと思う。そしたらまた何かつかめるかも??


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