その11 【ミュンスター音大での歌とコレペティ編】

時期:2001年10月頃〜                                     執筆日:2005年10月28日
最初は何もかも目新しくて新鮮だったが、ドイツ語ができないのでそんなにキャッキャとはしゃぎ回ってもおれず、どちらかというと毎日孤軍奮闘しておりました。

まず歌のレッスン。これはそこまで問題はなく、先生の言ってる事とかはジェスチャーでもわかるし、歌のことに関してなので理解もしやすい。ただたまに「あなたここどういう意味だかわかる?」と聞かれるとまったく答えることができなかった時もあったが。しかし俺の先生は外国人に優しかったので丁寧に一つ一つ教えてくれた。

彼女は日本の学生がよく好んでやるような曲はあまり渡さず、どちらかというとマイナーな曲ばかり要求してきた。特に近代、現代の作曲家とかを多くやらされて当時は譜読みが大変だった。そして沢山の教会音楽もやらされた。日本にいた頃はバッハとか全然やったことなかったのに。しかしこれらの曲はドイツでやっていくには避けて通れないもので、日本にいるときはドイツ音楽の氷山の一角しか見えていなかったんだと痛感した。

レッスンでまず一番最初にというか常に直されていたのがドイツ語の「発音、発語」であった。ドイツ語は細かく分類すると母音が14個ある。これらはあまりにも専門的過ぎるので書かないが、母音5個の国からやってきたばかりの俺にとっては大仕事だった。そして子音も日本人が使ってるものとは比べ物にならないほどの威力が必要で、どうやったら唾を飛ばさずに発音できるのかは今でも疑問の一つである。とにかくこれらをすぐに直すなんて無理な話で、彼女のもとで勉強している間は口をすっぱくして常に言われ続けた。2年間ですヨ?

他にも重要な授業があり、それは日本ではやったことのないコレペティとのレッスンだった。コレペティとは伴奏してくれる人のことで、要するに「これ弾いて!」と楽譜を渡し歌って、それに対して色々言ってもらう授業である。

音楽をやってない人にしてみたら「そんなんカラオケじゃん!」と思うかもしれないが、いやいや、違うんデスヨ。歌はアカペラじゃないかぎり常に何かの伴奏がついてるのだが、いい伴奏で歌うと自然にいろんなことができてしまうのだ!たとえば高い難しい音が自然に出たりとか。

しかし一番重要なのは音楽性を磨くこと。コレペティの多大な知識や経験から紡ぎ出される音楽に乗って歌うと、自然にその曲に対する音楽の流れがわかるというか、身についていくのだ。特にロマン派の音楽(シューベルトやシューマンなど)はきっちりかっちり拍通りに歌うとまったくもってつまらない。時には早くなったり、時には長く休符をとったりと様々に音楽を動かさないといけない。

なんかあまりにも話が専門的になりすぎてるような。。。ここらで一区切りつけとこうかな。。。

実技系の授業はこんなものか。次は勉強系の授業について書いてみよっと。


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