その7 【ミュンスター音大入学手続き編】

時期:2001年07月04日                                    執筆日:2005年10月24日
入学試験に無事合格し、アイスカフェで先生と生徒何人かと入学手続きのことについて話しあっていた。

事務所で入学手続きに必要な書類を受け取り、皆がなんやかんや教えてくれてる。とりあえずパっと見てわかるのは自分の名前を書き込む欄くらい。そして入学に必要な物をリストアップしてくれた。

1.この書類
2.銀行の口座(カード)
3.学校に払ったお金の振込用紙
4.健康保険カード

ビザは学生証をもらった後に発行しないといけないので、それは後日持って来ることに。

1.この書類は、まぁ頑張って書こう。
2.銀行のカードはもう持ってる。
3.お金は、どうやって振り込むんデスか?
4.健康保険カード持ってないっす。

まぁそんなこんなで話も進み、先生(シュプレッケルゼン)がこう聞いてくる。

シュ「あなたいつ日本に帰るの?」
俺「明日です」
一同「!!??」

というのもドイツでは観光ビザで滞在できるのは3ヶ月までで、来た日から帰る日までぎりぎり3ヶ月で飛行機のチケットを取っていたからだ。

シュ「この書類は○月×日までに提出しないといけないのよ?あなた銀行のカード持ってる?」
俺「はい」
シュ「健康保険は?」
俺「いいえ」

この日は金曜日。ドイツでは土日は大抵そういう会社は休み。そして手続きをするには本人が出向かなければいけない。ここらへんまでわかってくると俺もあせってきた。そして時間は夕方5時。これまたドイツでは大抵6時までしかそういう会社は開いてない。しかも6時きっかりまでではなく、5時45分に閉めて6時ぴったりに社員が帰るという寸法だ。素晴らしい。

シュ「あなた!はやく健康保険の手続きをしてくるのよ!!」
俺「は、ハイィィっ!!」

もちろん俺一人でそんなことできるわけなく、その時一緒に来てたアンドレアスの彼女ゾニヤが一緒についてきてくれることになった。正確に言うと、彼女が先導して僕が付いていった感じなのだが。

まず行った所は多くのドイツの学生が入っているAOKという保険会社。行くと、

A「もう受付は終わりました」

とのこと。次の保険会社は・・・どこだったっけ?とりあえずそこからまた歩いて10何分くらいのところへ。保険に入りたい旨を伝えると、

「じゃあ健康診断をしなければいけないので期日を決めましょう」

と言われる。そんな時間のない俺には無理な話で、違う会社に行かなければいけない。そろそろ夕方6時の5分くらい前。他に行くあてのない俺たちが考えあぐねていると、ゾニヤがもう一つ会社があることを思い出す。結構歩いてへとへとだった上に、色々断られたり、時間がなくてあせっていて、本当に最後の望みをかけてそこに向かった。意外に遠い場所にあり会社の前に着いたのは6時10分をまわったところ。満を持してドアを押す。開いた!!

中に入ってゾニヤが今まで言ってきたことと同じことを受付に告げる。→奥に通される。→ゾニヤ喜ぶ。→どうやらOKらしかった。

ゾニヤが全部喋ってくれて、俺がしたことは書類にサインするだけ。何の問題もなく、後日カードが郵送されるとのことだった。

ドイツで俺がやらなければならないことは終わり、俺じゃなくてもできることは全部アンドレアスがしてくれることになった。お前らなんていい奴らなんだ!!

その当時語学ができずに一番悔やまれたことは、こんなに親切にしてもらった友人達に「ダンケシェーン(ありがとうの意)」しか言えなかったことだ。本当はこの何百倍も感謝してるのです。本当にありがとう!!(ここで言っても無駄なことはわかってるのだが、思い出すとどうしても言いたくなった)

次の日、ドイツの音大入学という看板を背負って凱旋帰国となったわけです。

つづく・・・


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